Tom Dixon（トム・ディクソン）氏は、休むことを
知らないイノベーターです。
日々、照明や家具、ホームアクセサリーなどの開発
に取り組んでいます。
デザイナーとしてキャリアを歩み始めた1980年代
初頭以降、鉄屑を溶接でつなぎ合わせ前衛的な家具
作りに没頭した時代を経て、イタリアの高級家具
メーカーCappellini（カッペリーニ）との家具製作、
Habitat（ハビタ）や Artek（アルテック）において
クリエイティブ・ディレクターを務め、プラスチック
製品工房Eurolounge（ユーロラウンジ）を創業し、
様々なデザイン分野で経験を積んで、デザイン業界
におけるプロダクト・デザイナーとして彼が辿った
道を見つめ直す為、彼自身の名前を冠したブランド
を2002年に創業しました。
創業後、彼は企業人としての目線から離れて、全く
新しいアングルから商品やインテリアのデザインを
見つめ直すという、新たな探求の旅を始めました。
それから15年という月日が経ち、Tom Dixon氏は
インテリア業界で、大きな影響力を持つ存在となり、
その影響力はロンドン、ミラノ、ニューヨーク、ロサン
ゼルス、香港、中国、そしてこの東京のブランド・ハブ
を通じて益々拡がっています。
照明、家具、食器からルーム・フレグランスにいたる
までの約600種類の商品を世界65の国々にお届け
しております。
そのTom Dixonブランドを担い、Tom Dixon氏が
主宰するデザイン設計グループ「Design Research
Studio（デザイン・リサーチ・スタジオ）は、ホテルや
レストランなどのホスピタリティー空間、店舗などの
商業空間、オフィスやコ・ワーキングスペースなどの
オフィス空間やイベントスペースなどこれ迄にも
多岐にわたる空間の設計を手掛けております。

水や食料の運搬に使われてきた容器など、何気ない日用品の機能的なシルエットから
インスピレーションを受けてデザインされた『ビート・ライト』。
インド北部で長きに亘って伝承されてきた板金技術を駆使し、デザインピースとして
仕上げました。

創り出す傑出したデザインの多くは、伝統的な技術や職人が培ってきた専門知識が
ベースとなっています。「叩く」という意味の照明「ビート」。
トム・ディクソン氏は2002年、ブリティッシュ・カウンシル（英国文化振興会）が
主導するNGOプロジェクトに参画し、鍋や水甕などを作っていた金属加工職人の
働く場所やその技術を絶やさないために付加価値の高いデザインピースの作り手に
育成すべきとの考えから「ビート・ライト」を提案しました。　
インド北部の熟練工によって、真鍮製の金属板を4日間という時間をかけて黙々と
叩き続けることで成形し、成形した個々のパーツを溶接によってつなぎ合わせて、
彫刻のようなオブジェを作り出します。
シェードの中に残る打痕、シルエットは職人の個性を表し、微妙なシェープや色合い
の違いなどに見られる個体差こそが「ビート・ライト」。
機械で作った工業製品ではなく、職人が創り出した作品である証です。

インドで長きに亘り培われてきた真鍮を加工する成型技術に着目し、トム・ディクソン氏が創作したのが
「Beat （ビート）」であり、様々な製造現場で機械化が進む近年のインドにおいても、約4日間の時間を掛け
熟練した技術を持つ職人の手によって一つ一つ丁寧に作られています。
真鍮の板をモールド（型）に嵌めながら部位ごとの成型を行なった後、それらのパーツを溶接で繋ぎ合せて
ハンマーで丁寧に全体の成型を行ないます。
この製造工程で創出される「r」（曲面）や「beat」（打痕）の形状に一つとして同じものはなく、細かい歪みや
小さな凹みも個々の製品に刻み込まれる職人のフィンガー・プリントであり、Beat Lightがハンドメイド
である証とも言えます。
個体によって多少の色ムラが発生しますが、陶磁器の釉薬と同様に制作時の環境によって産出される天然
のデザインとも言えます。
真鍮という素材の特性上、様々な経年変化が発生しますが、丁寧にお手入れをしながら、お客様と共に歳を
重ねていく手工芸品とご理解ください。